31名無しさん@おーぷん2016/05/30(月)18:20:17ID:A0M
興味あるから続けたまへ
32名無しさん@おーぷん2016/05/30(月)18:20:56ID:dGG
彡(゚)(゚)「元の話を聞いたアメリカ人が、友人にそれを広めていく。友人はまた別の友人へ、そいつもまた他の奴へ……という感じで、都市伝説が広がっていくな」

彡(゚)(゚)「その途中で、誰かが日本人の友達に都市伝説を話す際こう考えた。「オクラホマ州で起きた事件なんかを話しても、日本人のこいつは対して怖がらないかも知れない……」」

彡(゚)(゚)「そしてそいつは舞台を改変してしまったんや。「オクラホマではなく京都で起きたことにしよう」ってな」

(´・ω・`)「ずいぶんと悪質な人だね。勝手に話の内容を変えちゃうなんて」

彡(゚)(゚)「せやけどそれを調査するのは不可能や。口伝えの噂で、証拠はどこにもあらへんからな」

彡(゚)(゚)「舞台が京都に改変された都市伝説が広まる内に、また別の誰かが話を改変したんや。腎臓を取られたという事実がより分かりやすく伝わるよう、傷の場所は背中からわき腹に」

彡(゚)(゚)「お酒を飲まない人にも怖がってもらうよう、バーから旅行会社の出来事に……そうして話が作り替えられていくうちに、とうとう被害者の友人という存在は抹消され、性別すら入れ替わってしまった。こうして現在の形が出来上がったんや」
33名無しさん@おーぷん2016/05/30(月)18:21:45ID:dGG

彡(゚)(゚)「一体誰が話を作り替えたのか? 今はもう誰にも分からん。そもそも本当にオクラホマ州で起きた事件なのか? これだって別の国で起きたのを、誰かがアメリカに舞台を変えたのかも知れへんからな」

彡(゚)(゚)「なぜそいつは話を作り替えたのか? それは簡単に推察できる。より身近な恐怖を感じられるようにや。ぶっちゃけ元ネタの話を聞いたって、正直自分には関係あらへんって思いそうやろ?」

(´・ω・`)「まぁそうだね。アメリカと京都じゃ場所も全然違うし、バーに行かない人は自分には関係ないって思いそうだよね」

彡(゚)(゚)「せやけど、京都で起きた事件だって言われると、本当にあったんじゃないかとか、警察が隠してるだけなんじゃないかって思えてくる。本当か嘘かは抜きにして、旅行に行った時は気をつけようって気になるわな」

彡(゚)(゚)「要は臓器を盗まれたっていう怖さが伝わるのが大事なんやから、それを阻害する部分は誰かが切り捨てて、より恐怖が増大するよう設定が付け加えたんや。これが都市伝説の変異ということやで」

(´・ω・`)「なんだか凄いね。元はアメリカの噂話だったのに、いつのまにか日本向けに変わっちゃったんだね」

彡(゚)(゚)「もちろん都市伝説そのものが変わってしまった訳ではないで。今もアメリカでは元ネタに近いバージョンのものが語り継がれているし、日本国内でも数多くのバリエーションが見られる。『腎臓泥棒』でググれば色々出てくるで」

彡(゚)(゚)「現在のバージョンだけに話を限るなら、確かに原ちゃんの言う通り真偽の検証が出来る。個人で事件の記録を調べるのはちと難しいが、警察や記者なら可能やろな」

彡(゚)(゚)「しかし京都での事件記録は無くとも、本当は大阪で起きた事件かも知れない。いや違う名古屋だ、いやいや東京だ……こんな風にして、誰かが真偽を明らかにしても、また検証が及んでいない場所まで、この都市伝説は逃げていく。あたかも指の間をすり抜ける蝶のようにな」
35名無しさん@おーぷん2016/05/30(月)18:22:45ID:dGG

彡(゚)(゚)「変異は陰謀論やゴシップネタにはできん芸当や。話の核にどうしても固有名詞が絡んでくるから、勝手に改変する訳にはいかん。新田恵海のAV疑惑が、広まっていく内に内田彩やら徳井青空やらに変わってしまったら大問題やろ?」

(´・ω・`)「それを例に出すのかはどうかと思うけど、まぁそうだね」

彡(゚)(゚)「出演していたのがどっかのドラマのエキストラなんかに変わることもない。これは噂の核となる要素が「新田恵海がAVに出演していた」というものやからや。5W1Hで表すなら、who(新田恵海)とwhat(AV出演)が決まってしまっているんや」

彡(゚)(゚)「この内問題になるのはwho、すなわち新田恵海という人物や。お世辞にも彼女は大御所声優とは言えんな。知っているのは声豚くらいやから、噂が日本中、ましてや世界中に広まることなんかあり得へん」

彡(゚)(゚)「それにいくら大人気の声優であろうとも、人間である以上はいつか死んでしまい、知名度も下がっていってしまう。大山のぶ代だって今の子供は本人と一緒で何を演じていた声優だったのか知らへんやろ」

(´・ω・`)「本人が知らないのは病気のせいじゃ……というか可哀想だからもう声優を例にするのは止めてあげようよ」

彡(゚)(゚)「分かった分かった。話を腎臓泥棒に戻すと、これは核となる部分が曖昧なものだからこそ、国境や年代を超えて広がり続け、また改変も簡単に行えるんや」
36名無しさん@おーぷん2016/05/30(月)18:24:08ID:dGG




彡(゚)(゚)「5W1Hにおける、whoとwhereが曖昧なものであることが都市伝説として流布されるのに必要な条件やな。特にwho、話中の登場人物が不特定の誰かでなければ、まず話の変異は起こらない都市伝説がよく『友達の友達』を主人公にしているのはこれが理由や」

彡(゚)(゚)「実際に自分の身の回りで起きたことではない、せやけど自分と似たような立場や環境におる人間が体験し、自分も同様の出来事が起きる可能性がある。都市伝説っていうのは、そういう不確かな真実味を帯びているものなんや」

彡(゚)(゚)「枝葉の部分を徹底的に切り落とせば、世界中の人間に伝えられる内容にできる。これが都市伝説の定義とも言えるな。腎臓泥棒で言うとこんな感じや↓」

怪しい人に薬で眠らされ、腎臓を取り出されて闇市場に売られた

(´・ω・`)「たった一文で終わっちゃうんだね」

彡(゚)(゚)「せやけどこの話をどんな人間にしても、一応は興味を持って聞いてくれるやろ。どこで起きた話なのか、被害者と犯人は誰なのか聞いてくるやろうけど」

(´・ω・`)「そうか、そこで語り手が設定されてないwhoとwhereの部分を好きに決めてしまえば、また新たな都市伝説が生まれるという訳なんだ」

彡(^)(^)「その通りや。核だけを残し、後は自由自在に変貌する柔軟性こそが、都市伝説の魅力なんやな」

彡(゚)(゚)「腎臓泥棒ならそうやな、将来麻酔の件が脱法ハーブに変わるんやないか? 「犯罪じゃないから」と言われて使ってみたら、そのまま意識を失ってしまい……」

(´・ω・`)「おっ大丈夫か大丈夫か?」

彡#(`)(´)「大丈夫です……って何言わせとるんや」

(´・ω・`)「せっかく振ってあげたのに……」

37名無しさん@おーぷん2016/05/30(月)18:24:59ID:dGG
彡(゚)(゚)「もう一つ例を紹介しておこか。1970年代に広まった都市伝説、『見るな!』という話や」


ある朝、女子高生の集団が踏み切りで電車が通過するのを待っていると、すぐ前に立っていた女性が突然線路に飛び込んだ。止める間もなく電車は通過してしまい、凄まじい音と共に女性の体はバラバラに粉砕される。
目の前で起きた凄惨な出来事に声も出せず立ち尽くす女子高生達。その内の一人の足元に、切断された首が転がってきた。そして、一回転して止まった生首と目が合った瞬間、瞳を大きく見開いた生首がこう叫んだのだ。

「見るな!」



彡(゚)(゚)「短いながらインパクトのある話やろ」

(´・ω・`)「自分から電車に飛び込んでおいて、居合わせた人に見るなって怒るなんて、随分と身勝手な自殺志願者だね」

彡(゚)(゚)「……お前の感性はどこかズレとるな。まぁええわ。この話の核は言わんでも分かるやろうが、『死んだ人間が喋る』という点や」

彡(゚)(゚)「せやけど、この点だけで都市伝説扱いするには少し非現実的過ぎる。首だけになった人間がはっきりと意味のある言葉を口にするなんて信じられへんな」

(´・ω・`)「でもこの話の検証は絶対無理だよね。首を切ったら殺人になっちゃうし、ナチスでもなくちゃ調べられないよ」

彡(゚)(゚)「せやな。具体的な人物名や地名も出てこうへんし、一応都市伝説の条件は満たしとる。とはいえ1970年代だったら多少はこの話を信じる奴がいたかも知れへんが、今は話した所で一笑に付されるだけやろ」
39名無しさん@おーぷん2016/05/30(月)18:26:07ID:dGG
彡(゚)(゚)「しかしこの都市伝説は生き延びた。真実味を持たせる為に、どこかの誰かが枝葉を付け足していったんや。そうして出来たのが次のバージョンや」



北海道札幌市内の踏み切りで、ある寒い夜に悲惨な事故が起きた。夜遅く電車が踏み切りに差し掛かった時、当時9歳だった女の子が踏み切り内に入ってしまったのだ。塾帰りで、急いで家に帰ろうとしていたらしい。
向こう側に一気に走り抜けようとしたが、レールに足を滑らせて転び、そのまま轢かれてしまった。周囲には他にも人がいたが、助ける間も無かったという。
車輪で真っ二つになってしまった少女の上半身は、踏み切りの向こう側まで飛んでいった。暫くして救急隊員が現場に到着したが、応急処置でどうなるというレベルの話ではない。
仕方なく目の前にある上半身だけ担架に乗せようとした時、少女がいきなり目を開けてこう叫んだ。
「いたい! 助けて!」
外気は氷点下にまで達していたので、少女の体が切断された際に断面が瞬時に凍りつき、更に血管そのものが冷気により収縮したので出血が止められた。
そして救急隊員に抱き上げられた時、体内の血が流れ始め、一時的に意識が戻ったらしい。現地の消防関係者でこの話を知らない者はいない。



彡(゚)(゚)「どうや」

(´・ω・`)「さっきの話より信憑性が高まったね。北海道なら傷口が簡単に凍り付くこともあるかも」

彡(゚)(゚)「更に切断された場所が首から胴体に変わっとる。生首だけなら到底生き残れそうには思えへんけど、これなら僅かな時間意識を保つことが出来るかも分からんな」

彡(゚)(゚)「もちろん実際には傷口が一瞬で凍り付くなんてことはあらへん。そもそも抱き上げられた程度の衝撃で血流が復活するなら、地面に打ち付けられた時に流れ出てしまうやろうな」

彡(゚)(゚)「せやけどこれを実際に確かめる方法も存在しない訳や。いくら頭ではあり得ないと理解していても、ひょっとしたら本当に生きていられるのかも知れない……そう憶測した時点で、この都市伝説は延命に成功している」

彡(゚)(゚)「どうせ検証は元から不可能なんやから、足される真実味も僅かな物でええっちゅうことや。オカルトを信じていない人でも、何かの機会に別の誰かにこの話をしてくれれば、潰えずに生き残ることができる」

(´・ω・`)「なんだか悪魔の証明に近い物があるね。突拍子もない話だからこそ、検証するのは逆に難しくなってしまうと」

彡(゚)(゚)「ちょっと違うがまぁそうやな」
1001オススメ記事@\(^o^)/2016/05/31 00:48:00 ID:narusoku