112016/07/07(木)23:26:45ID:Ahm
この季節になるといつも思い出してしまう。
自分の気持ちに整理をつけるためにも書いていこうと思う。
ゆっくり書いていくのでもし良ければ付き合ってほしい。

俺 21歳 大学生 顔はナイツ土屋似
話の始まりは12年前まで遡る。
312016/07/07(木)23:30:32ID:Ahm
俺が12年前、小学生3年生の頃に住んでいたのは
街から離れたド田舎だった。
コンビニすらもなく村の人達とは全員が顔見知りで
子供が少なく俺の学年は俺1人だと言うこともあり
俺のことを見つけると村の人達はいつも話しかけてくれた。
512016/07/07(木)23:33:44ID:Ahm
けれど俺は、当時とても暗い性格で
話しかけてもらっても挨拶も返さず走って逃げちゃうような子供だった。
と言うのも、当時住んでいた村のことがあまり好きじゃなかった。
学年は俺1人だし街からは離れているし
こんな田舎なんかより都会に住みたいと思ってた。
7名無しさん@おーぷん2016/07/07(木)23:34:34ID:1VG
ほうほう
812016/07/07(木)23:36:30ID:Ahm
学校は先生が数人、
下級生や上級生との合同授業なんかも稀にあった。
全校生徒が集まっても教室1つが広く感じるくらいだった。

学校でも口を開くことなく、家に帰っても本を読むくらいしかすることはなくただ退屈な日々を送っていた。
1012016/07/07(木)23:39:51ID:Ahm
そんな小学3年生の夏
ある女の子とその母親が村に引っ越してきた。
どうやら村に母親の実家があったのだと思う。
小学3年生ながら父親のいない2人のことを見て
なにかを感じていた思い出が頭の中に少し残っている。
1112016/07/07(木)23:43:09ID:Ahm
村ではそういう事があると村長の家で集会がある。
俺はあまり得意ではなかったが両親に連れられ出席した。
そこで彼女を初めて見たわけだが第1印象は気の強そうな子だな、だった。
髪は短く、顔は整っていたと思う。
1212016/07/07(木)23:47:27ID:Ahm
集会はと言うと大したことをする訳では無い。
2人を囲んで大人達は酒を飲み、子供は2階で遊ぶ。
まぁ俺はその輪の中には入れずいつも1階の隅の方で会が終わるのを本を読みながら待っていた。
すると村長が「俺君よ、ちょいとこっちに来い」と言ってきた。
1312016/07/07(木)23:52:08ID:Ahm
渋々村長の元に行く、もちろん返事はしなかった。
すると村長が「あの子に村を案内してあげなさい、君とは同級生だから仲良くやれるよ」と言った。
それを聞いた俺は恐らく嫌な顔をしたのだろう。
村長は「大丈夫、よろしく頼んだよ」と続けた。
1412016/07/07(木)23:55:22ID:Ahm
彼女は2階で遊ぶ子供たちの輪には入らず
母親のそばでつまらなそうにしていた。
同級生の女の子と会話するのは初めてなわけで多分緊張していた。
「ちょ、ちょちょちょっと村を探検しませんか!」
今考えるとわけのわからない誘い文句だった。
けれど彼女は凄く嬉しそうに
「うん!」と返事を返してくれた。
1512016/07/07(木)23:57:48ID:Ahm
その不器用な誘い文句以降、俺は口を開くことができなかった。
ただ彼女の二三歩前を歩き村を回った。
彼女は「真っ暗だね、なんにもないね!」なんて呟いてた。
16名無しさん@おーぷん2016/07/07(木)23:58:39ID:lrU
まだ見てるぞ
1912016/07/08(金)00:03:54ID:Nxz
>>16
ありがとう
1712016/07/08(金)00:00:10ID:Nxz
村の端まで来ると少し彼女が疲れたようだった。
大きな村ではないので俺は全く疲れてなかったんだけれど
彼女が足を止めたので無言でその場にあった石に腰を下ろした、もちろん彼女も同じように隣に座った。
1812016/07/08(金)00:03:37ID:Nxz
なんか「いい所だねぇ~!」彼女がそう言うと
俺は「どこがだよ」と少しカッコつけたような言い方をした。
「あ!やっと喋った!全然喋らないから怖かったんだから!どこかに連れてかれると思って...」
第一印象とは真逆の言葉が彼女の口から漏れたからか、俺は少し楽になった、ギャップというヤツなんだと思う。
20名無しさん@おーぷん2016/07/08(金)00:04:05ID:8zm
気になってきた
2312016/07/08(金)00:08:53ID:Nxz
>>20
ありがとう、ゆっくり続けるね
21名無しさん@おーぷん2016/07/08(金)00:08:07ID:xiB
文章うまいな
2312016/07/08(金)00:08:53ID:Nxz
>>21
ありがとう
2212016/07/08(金)00:08:25ID:Nxz
何故かわからないけれどそのやりとりの後は
家族以外とは初めて、人と会話をすることが出来た。
いや、今ではその理由はわかってる。

彼女は色んな質問をしてくれた。会話できたのはそのお陰もあったのだと思う。
普段どんな様子なのか、学校はどうなのか、俺はいつもなにをしているのか、なにが好きなのか、と目をキラキラ輝かせながら話を聞いてくれた。
2512016/07/08(金)00:13:15ID:Nxz
彼女のお陰でほぼ全ての質問に答えることができたが
1番答えに困った質問があった。
「この村のいい所ってなに!?」無邪気に放たれた質問には悪意はなかったのだが、当時の俺からすれば東京大学の入試問題よりも難しい質問だった。
その答えを言うまで10分は考えたかもしれない。
「この季節は向日葵が咲くよ、それから花火大会があるんだけどすごく綺麗だよ」なんとか絞り出した答えに
「あんだけ考えたのにそれだけかい!」と彼女は笑いながらツッコンでくれた。
2712016/07/08(金)00:18:37ID:Nxz
1通り彼女が質問し終えると俺が質問する番だった。
俺も色んなことを聞いた、どこから来たのか、なにが好きなのか、本は好きか。
そんな質問に彼女は食い気味で答えてくる。
1つ気になっていた、彼女の父親のこと。これについては触れることはしなかった。小さいながらも気を遣ったのだと思う。
2812016/07/08(金)00:23:23ID:Nxz
随分と話していたんだろう。
村のあちこちで俺達を呼ぶ声が聞こえた。
俺達2人は焦って村長の家に帰った、少しだけ両親に怒られたけれど家に帰ると「2人で何話してたの?」なんて嬉しそうに聞いてくれた。
彼女の母親も村長さんもニコニコしていた。
集会が終わると彼女は「また明日ね!」と言ってくれた。
3112016/07/08(金)00:29:00ID:Nxz
次の日から学校には彼女がいた。
同級生ができたからか、会話をする相手が出来たからか
その日は学校がとても楽しかった。
休み時間も授業中も彼女と話していた。
帰りに彼女が「向日葵見に行こうよ!」と言った。
俺は何故か得意げに「任せろ!」なんてらしくない言葉で返した。
3212016/07/08(金)00:33:44ID:Nxz
向日葵畑に着くと
彼女は「ここ昨日通ったね」と言った
「もう覚えたんだ、凄いね」と返すと
「ここ気に入っちゃった!」と彼女は微笑んだ。
前日にここを通った時は暗くてなにもないただの道だったけれど
そこは川が流れていて橋が架かっている。そしてその橋の上から辺りを見渡すと川を挟むようにして向日葵畑が広がっている。
3312016/07/08(金)00:36:47ID:Nxz
当時は当たり前の画だったけれど今になると
素敵な場所だったんだなと感じる。

彼女はそれ以上の言葉を発することなくただ
橋から足を下ろし腰をかけて向日葵を眺めていた。
その時の彼女の笑顔は今でも覚えてる。
3412016/07/08(金)00:42:15ID:Nxz
それからと言うものいつも彼女と一緒にいた。
田舎だったため特にすることはなく
畑で遊んだり時には仕事を手伝ったりの日々を過ごした。
彼女はすぐに疲れてしまうので
「体力ないなぁ!」なんてよく馬鹿にした。
彼女の影響からか俺も少しづつ変わっていった。
村の人達には元気に挨拶を返すようになった。
村の子供たちとも仲良くなった。
2つ上の男の子以外とはよく遊ぶようにもなっていた。
3512016/07/08(金)00:43:51ID:Nxz
人は少なくなってきましたが続けます
まだまだ終わらないので見てくれてる方
あとでゆっくりまとめて見るのもいいと思います。
36名無しさん@おーぷん2016/07/08(金)00:46:15ID:wTc
おう、見てるぞ
37名無しさん@おーぷん2016/07/08(金)00:48:35ID:KLM
今見て読んだぞ!!
3812016/07/08(金)00:49:35ID:Nxz
>>36
>>37
ありがとう
続けます
4112016/07/08(金)00:53:45ID:Nxz
ある日彼女が突然に
「花火大会一緒に見に行かない?」と言ってきた。
俺は「でも村のどこでも見れるし一緒に行くもなにもないんじゃない?」なんていう馬鹿な返事をした。
確かに村ならどこでだって見られる。
けれどそういうことじゃないことは今ならわかる。
彼女は「そっかぁ~」と少し残念そうだった。

結局花火大会は小学校のみんなで行くことになる。
4212016/07/08(金)00:58:00ID:Nxz
花火大会当日、小学校に俺達は集まった。
たった数人の全校生徒で今か今かと待ちわびていた。
彼女は少し遅れてきたのだけれど浴衣を来ていた。
「花火見るだけじゃん!」なんて笑ったけれどすごく似合っていた。
「じゃーーーん!」なんて無邪気にはしゃぐ彼女を小学生みんなが取り囲んでいた、浴衣なんて着る人いなかったしね。
1001オススメ記事@\(^o^)/2016/07/12 22:09:00 ID:narusoku