32:名無しさん@おーぷん:2016/07/09(土)04:30:37ID:z0l
熊こわい
33:名無しさん@おーぷん:2016/07/09(土)04:31:20ID:QZq
太田家への再襲
夜になり、幹雄の両親とその知人の3名が到着。
太田家では幹雄とマユの通夜が行われたが、村民はヒグマの襲来におびえ、参列したのは六線沢から3人、三毛別から2人と幹雄の両親とその知人、喪主の太田三郎のあわせて9人だけだった。
幹雄の実母・蓮見 チセ(当時33歳)が酒の酌に回っていた午後8時半頃、大きな音とともに居間の壁が突如崩れ、ヒグマが室内に乱入して来た。
棺桶が打ち返されて遺体が散らばり、恐怖に駆られた会葬者達は梁に上り、野菜置き場や便所に逃れるなどして身を隠そうとする。
混乱の中、ある男性はあろうことか自身の妻を押し倒し、踏み台にして自分だけで梁の上に逃れた。
以来、夫婦の間では喧嘩が絶えず、夫は妻に一生頭が上がらなかったという。
この騒ぎの中でも、気力を絞って石油缶を打ち鳴らしてヒグマを脅す者に勇気づけられ、銃を持ち込んでいた男性が撃ちかけた。
さらに300m程離れた中川孫一宅で食事をしていた50人ほどの男性達が、物音や叫び声を聞いて駆けつけたが、その頃にはヒグマはすでに姿を消していた。
犠牲者が出なかったことに安堵した一同は、いったん明景家に退避しようと下流へ向かった。
夜になり、幹雄の両親とその知人の3名が到着。
太田家では幹雄とマユの通夜が行われたが、村民はヒグマの襲来におびえ、参列したのは六線沢から3人、三毛別から2人と幹雄の両親とその知人、喪主の太田三郎のあわせて9人だけだった。
幹雄の実母・蓮見 チセ(当時33歳)が酒の酌に回っていた午後8時半頃、大きな音とともに居間の壁が突如崩れ、ヒグマが室内に乱入して来た。
棺桶が打ち返されて遺体が散らばり、恐怖に駆られた会葬者達は梁に上り、野菜置き場や便所に逃れるなどして身を隠そうとする。
混乱の中、ある男性はあろうことか自身の妻を押し倒し、踏み台にして自分だけで梁の上に逃れた。
以来、夫婦の間では喧嘩が絶えず、夫は妻に一生頭が上がらなかったという。
この騒ぎの中でも、気力を絞って石油缶を打ち鳴らしてヒグマを脅す者に勇気づけられ、銃を持ち込んでいた男性が撃ちかけた。
さらに300m程離れた中川孫一宅で食事をしていた50人ほどの男性達が、物音や叫び声を聞いて駆けつけたが、その頃にはヒグマはすでに姿を消していた。
犠牲者が出なかったことに安堵した一同は、いったん明景家に退避しようと下流へ向かった。
36:名無しさん@おーぷん:2016/07/09(土)04:33:14ID:QZq
明景家の惨劇
その頃、明景家には明景安太郎の妻・ヤヨ(当時34歳)、長男・力蔵(当時10歳)、次男・勇次郎(当時8歳)、長女・ヒサノ(当時6歳)、三男・金蔵(当時3歳)、四男・梅吉(当時1歳)の6人と、
斉藤家から避難していたタケ、巌、春義の3人、そして要吉の合計10人(タケの胎児を含めると11人)がいた。
前日の太田家の騒動を受け、避難した女や子供らは火を焚きつつおびえながら過ごしていた。
護衛は近隣に食事に出かけ、さらに太田家へのヒグマ再出没の報を受けて出動していたため、男手として残っていたのは要吉だけで、主人の安太郎は所用で鬼鹿村へ出掛けており不在だった。
太田家から逃れたヒグマは、まさにこの守りのいない状態の明景家に向かっていた。
太田家からヒグマが消えてから20分と経たない午後8時50分頃、ヤヨが背中に梅吉を背負いながら討伐隊の夜食を準備していると、地響きとともに窓を破って黒い塊が侵入して来た。
ヤヨは「誰が何したぁ!」と声を上げたが、返ってくる言葉は無い。
その正体は、見たこともない巨大なヒグマだった。
かぼちゃを煮る囲炉裏の大鍋がひっくり返されて炎は消え、混乱の中でランプなどの灯りも消え、家の中は暗闇となった。
その頃、明景家には明景安太郎の妻・ヤヨ(当時34歳)、長男・力蔵(当時10歳)、次男・勇次郎(当時8歳)、長女・ヒサノ(当時6歳)、三男・金蔵(当時3歳)、四男・梅吉(当時1歳)の6人と、
斉藤家から避難していたタケ、巌、春義の3人、そして要吉の合計10人(タケの胎児を含めると11人)がいた。
前日の太田家の騒動を受け、避難した女や子供らは火を焚きつつおびえながら過ごしていた。
護衛は近隣に食事に出かけ、さらに太田家へのヒグマ再出没の報を受けて出動していたため、男手として残っていたのは要吉だけで、主人の安太郎は所用で鬼鹿村へ出掛けており不在だった。
太田家から逃れたヒグマは、まさにこの守りのいない状態の明景家に向かっていた。
太田家からヒグマが消えてから20分と経たない午後8時50分頃、ヤヨが背中に梅吉を背負いながら討伐隊の夜食を準備していると、地響きとともに窓を破って黒い塊が侵入して来た。
ヤヨは「誰が何したぁ!」と声を上げたが、返ってくる言葉は無い。
その正体は、見たこともない巨大なヒグマだった。
かぼちゃを煮る囲炉裏の大鍋がひっくり返されて炎は消え、混乱の中でランプなどの灯りも消え、家の中は暗闇となった。
38:名無しさん@おーぷん:2016/07/09(土)04:35:00ID:QZq
ヤヨは屋外へ逃げようとしたが、恐怖のためにすがりついてきた勇次郎に足元を取られてよろけてしまう。
そこへヒグマが襲いかかり、背負っていた梅吉に噛みついた後、3人を手元に引きずり込み、ヤヨの頭部をかじった。
だが、直後にヒグマは逃げようと戸口に走っていく要吉に気を取られて母子を離したため、ヤヨはこの隙に勇次郎と梅吉を連れて脱出した。
追われた要吉は物陰に隠れようとしたが、ヒグマの牙を腰のあたりに受けた。
要吉の悲鳴にヒグマは再度攻撃目標を変え、7人が取り残されている屋内に眼を向けた。
ヒグマは金蔵と春義を一撃で撲殺し、さらに巌に噛みついた。
この時、野菜置き場に隠れていたタケがむしろから顔を出してしまい、それに気付いたヒグマは彼女にも襲いかかった。
居間に引きずり出されたタケは、「腹破らんでくれ!」「のど喰って殺して!」と胎児の命乞いをしたが、上半身から食われ始めた。
川下に向かっていた一行は、激しい物音と絶叫を耳にして急いだ。
そこへ重傷のヤヨと子供達がたどり着き、皆は明景家で何が起こっているかを知った。
途中で、重傷を負いながらも脱出してきた要吉を保護した後、男性達は明景家を取り囲んだが、暗闇となった屋内にはうかつに踏み込めない。
中からは、タケと思われる女のうめき声と、肉を咀嚼し骨を噛み砕く音が響く。
一か八か家に火をかける案や、闇雲に一斉射撃しようという意見も出たが、子供達の生存に望みをかけるヤヨが必死に反対した。
一同は二手に分かれ、入り口近くに銃を構えた10名あまりを中心に配置し、残りは家の裏手に回った。
裏手の者が空砲を二発撃つと、ヒグマは入口を破り表で待つ男性達の前に現れた。
先頭の男性が撃とうとしたがまたも不発に終わり、他の者も撃ちかねている隙にヒグマは姿を消した。
そこへヒグマが襲いかかり、背負っていた梅吉に噛みついた後、3人を手元に引きずり込み、ヤヨの頭部をかじった。
だが、直後にヒグマは逃げようと戸口に走っていく要吉に気を取られて母子を離したため、ヤヨはこの隙に勇次郎と梅吉を連れて脱出した。
追われた要吉は物陰に隠れようとしたが、ヒグマの牙を腰のあたりに受けた。
要吉の悲鳴にヒグマは再度攻撃目標を変え、7人が取り残されている屋内に眼を向けた。
ヒグマは金蔵と春義を一撃で撲殺し、さらに巌に噛みついた。
この時、野菜置き場に隠れていたタケがむしろから顔を出してしまい、それに気付いたヒグマは彼女にも襲いかかった。
居間に引きずり出されたタケは、「腹破らんでくれ!」「のど喰って殺して!」と胎児の命乞いをしたが、上半身から食われ始めた。
川下に向かっていた一行は、激しい物音と絶叫を耳にして急いだ。
そこへ重傷のヤヨと子供達がたどり着き、皆は明景家で何が起こっているかを知った。
途中で、重傷を負いながらも脱出してきた要吉を保護した後、男性達は明景家を取り囲んだが、暗闇となった屋内にはうかつに踏み込めない。
中からは、タケと思われる女のうめき声と、肉を咀嚼し骨を噛み砕く音が響く。
一か八か家に火をかける案や、闇雲に一斉射撃しようという意見も出たが、子供達の生存に望みをかけるヤヨが必死に反対した。
一同は二手に分かれ、入り口近くに銃を構えた10名あまりを中心に配置し、残りは家の裏手に回った。
裏手の者が空砲を二発撃つと、ヒグマは入口を破り表で待つ男性達の前に現れた。
先頭の男性が撃とうとしたがまたも不発に終わり、他の者も撃ちかねている隙にヒグマは姿を消した。
39:名無しさん@おーぷん:2016/07/09(土)04:36:30ID:QZq
ガンピ(シラカバの皮)の松明を手に明景家に入った者の眼に飛び込んできたのは、飛沫で天井裏まで濡れるほどの血の海、そして無残に食い裂かれたタケ、春義、金蔵の遺体であった。
上半身を食われたタケの腹は破られ胎児が引きずり出されていたが、ヒグマが手を出した様子はなく、その時には少し動いていたという。
しかし一時間後には死亡した。力蔵は雑穀俵の影に隠れて難を逃れ、殺戮の一部始終を目撃していた。
ヒサノは失神し、無防備なまま居間で倒れていたが、不思議なことに彼女も無事だった。
急いで力蔵とヒサノを保護し、遺体を収容した一行が家を出たところ、屋内から不意に男児の声があがった。
日露戦争帰りの者がひとり中に戻ると、むしろの下に隠されていた重傷の巌を見つけた。
巌は肩や胸にかみつかれた傷を負い、左大腿部から臀部は食われ骨だけになっていた。
六線沢の全15戸の住民は、三毛別にある三毛別分教場(その後、三渓小学校になるが廃校)へ避難することになり、重傷者達も3km川下の辻家に収容されて応急の手当てを受けた。
巌は母・タケの惨死を知るすべもないまま、「おっかぁ!クマとってけれ!」とうわ言をもらし、水をしきりに求めつつ20分後に息絶えた。
この二日間で6人、胎児を含めると7人の命が奪われ、3人が重傷を負った。
重傷者達は翌日さらに3km下流の家に移り、古丹別の沢谷医院に入院したのは12日になった。
上半身を食われたタケの腹は破られ胎児が引きずり出されていたが、ヒグマが手を出した様子はなく、その時には少し動いていたという。
しかし一時間後には死亡した。力蔵は雑穀俵の影に隠れて難を逃れ、殺戮の一部始終を目撃していた。
ヒサノは失神し、無防備なまま居間で倒れていたが、不思議なことに彼女も無事だった。
急いで力蔵とヒサノを保護し、遺体を収容した一行が家を出たところ、屋内から不意に男児の声があがった。
日露戦争帰りの者がひとり中に戻ると、むしろの下に隠されていた重傷の巌を見つけた。
巌は肩や胸にかみつかれた傷を負い、左大腿部から臀部は食われ骨だけになっていた。
六線沢の全15戸の住民は、三毛別にある三毛別分教場(その後、三渓小学校になるが廃校)へ避難することになり、重傷者達も3km川下の辻家に収容されて応急の手当てを受けた。
巌は母・タケの惨死を知るすべもないまま、「おっかぁ!クマとってけれ!」とうわ言をもらし、水をしきりに求めつつ20分後に息絶えた。
この二日間で6人、胎児を含めると7人の命が奪われ、3人が重傷を負った。
重傷者達は翌日さらに3km下流の家に移り、古丹別の沢谷医院に入院したのは12日になった。
40:名無しさん@おーぷん:2016/07/09(土)04:37:12ID:QZq
12月11日
すべての住民が三毛別分教場に避難した六線沢に人影はなく、おびえながら固く戸締りをした三毛別の各農家がヒグマ避けに焚く炎が、昨夜から不気味に寒村を照らしていた。
小村の住民だけではもはやなす術なく、三毛別地区区長の大川与三吉(当時47歳)と、村の長老や有志、駐在所巡査、御料局分担区員、分教場教師らが話し合い、ヒグマ退治の応援を警察や行政に頼ることを決議した。
その一方、家族に降りかかった悲劇を知らず雪道を往く斉藤石五郎は、役場と警察に太田家の事件報告を終えて10日は苫前に宿を取り、11日昼近くに帰路についた。
下流の三毛別にたどり着き、妻子の受難を知らされ、呆然と雪上に倒れ伏しただ慟哭をあげるしかなかった。
すべての住民が三毛別分教場に避難した六線沢に人影はなく、おびえながら固く戸締りをした三毛別の各農家がヒグマ避けに焚く炎が、昨夜から不気味に寒村を照らしていた。
小村の住民だけではもはやなす術なく、三毛別地区区長の大川与三吉(当時47歳)と、村の長老や有志、駐在所巡査、御料局分担区員、分教場教師らが話し合い、ヒグマ退治の応援を警察や行政に頼ることを決議した。
その一方、家族に降りかかった悲劇を知らず雪道を往く斉藤石五郎は、役場と警察に太田家の事件報告を終えて10日は苫前に宿を取り、11日昼近くに帰路についた。
下流の三毛別にたどり着き、妻子の受難を知らされ、呆然と雪上に倒れ伏しただ慟哭をあげるしかなかった。
41:名無しさん@おーぷん:2016/07/09(土)04:38:19ID:QZq
12月12日
討伐隊の組織
六線沢ヒグマ襲撃の連絡は北海道庁にもたらされ、北海道庁警察部保安課から羽幌分署長の 菅貢に討伐隊の組織が指示された。
一方、死亡者の検死のため馬橇で一足早く現地に乗り込んだ医師は、正午頃山道でヒグマの糞を発見した。
それを検分し、中から人骨・髪の毛・未消化の人肉を見つけると、立ちすくんだ。
菅警部は近隣の青年会や消防団、志願の若者やアイヌたちにも協力を仰ぎ、村田銃や刃物類、日本刀を携えた者を含め、多くの人員が三毛別に集まった。
副隊長には土地勘がある帝室林野局の人物と三毛別分教場の教頭を置き、隊長の菅警部は要所を固める一方、討伐隊を差し向けた。
しかし、林野に上手く紛れるヒグマの姿を捕らえることはできなかった。
討伐隊の組織
六線沢ヒグマ襲撃の連絡は北海道庁にもたらされ、北海道庁警察部保安課から羽幌分署長の 菅貢に討伐隊の組織が指示された。
一方、死亡者の検死のため馬橇で一足早く現地に乗り込んだ医師は、正午頃山道でヒグマの糞を発見した。
それを検分し、中から人骨・髪の毛・未消化の人肉を見つけると、立ちすくんだ。
菅警部は近隣の青年会や消防団、志願の若者やアイヌたちにも協力を仰ぎ、村田銃や刃物類、日本刀を携えた者を含め、多くの人員が三毛別に集まった。
副隊長には土地勘がある帝室林野局の人物と三毛別分教場の教頭を置き、隊長の菅警部は要所を固める一方、討伐隊を差し向けた。
しかし、林野に上手く紛れるヒグマの姿を捕らえることはできなかった。
42:名無しさん@おーぷん:2016/07/09(土)04:39:36ID:QZq
待ち伏せ
夕暮れが迫り、手応えを得られない討伐隊本部は検討を重ねた。
ヒグマには獲物を取り戻そうとする習性がある。
これを利用しヒグマをおびき寄せる策が提案されたが、その獲物が意味するものを前に本部内の意見は割れた。
菅隊長は目的のためこの案を採用し、罵声さえ覚悟して遺族と村人の前に立った。
だが、説明に誰一人異議を唱える者はおらず、皆は静かに受け入れた。
事態はそれだけ切迫していた。こうして、犠牲者の遺体を餌にヒグマをおびき寄せるという前代未聞の作戦が採用された。
作戦はただちに実行された。
銃の扱いに慣れた7名が選ばれ、交替要員1人を除く6名が、補強した梁の上でヒグマを待った。
居間に置かれた胎児を含む6遺体の死臭の中、森から姿を現したヒグマに一同固唾を飲んで好機を待った。
しかし、家の寸前でヒグマは歩みを止めて中を警戒すると、何度か家のまわりを巡り、森へ引き返していった。
男性たちはそのまま翌日まで待ち伏せたがヒグマは現れず、作戦は失敗に終わった。
夕暮れが迫り、手応えを得られない討伐隊本部は検討を重ねた。
ヒグマには獲物を取り戻そうとする習性がある。
これを利用しヒグマをおびき寄せる策が提案されたが、その獲物が意味するものを前に本部内の意見は割れた。
菅隊長は目的のためこの案を採用し、罵声さえ覚悟して遺族と村人の前に立った。
だが、説明に誰一人異議を唱える者はおらず、皆は静かに受け入れた。
事態はそれだけ切迫していた。こうして、犠牲者の遺体を餌にヒグマをおびき寄せるという前代未聞の作戦が採用された。
作戦はただちに実行された。
銃の扱いに慣れた7名が選ばれ、交替要員1人を除く6名が、補強した梁の上でヒグマを待った。
居間に置かれた胎児を含む6遺体の死臭の中、森から姿を現したヒグマに一同固唾を飲んで好機を待った。
しかし、家の寸前でヒグマは歩みを止めて中を警戒すると、何度か家のまわりを巡り、森へ引き返していった。
男性たちはそのまま翌日まで待ち伏せたがヒグマは現れず、作戦は失敗に終わった。
43:名無しさん@おーぷん:2016/07/09(土)04:40:47ID:QZq
12月13日
この日、旭川の陸軍第7師団から歩兵第28連隊が事件解決のために投入される運びとなり、将兵30名が出動した。
一方、ヒグマは村人不在の家々を荒らし回っていた。
飼われていた鶏を食い殺し、味噌や鰊漬けなどの保存食を荒らし、さらに、服や寝具などをずたずたにしていた。
中でも特徴的なのは、女が使っていた枕や、温めて湯たんぽ代りに用いる石などに異様なほどの執着を示していた点だった。
三毛別川右岸の8軒がこの被害に遭ったが、ヒグマの発見には至らなかった。
しかし、その暴れぶりからもヒグマの行動は慎重さを欠き始めていた。
味を占めた獲物が見つからず、昼間であるにもかかわらず大胆に人家に踏み込むなど警戒心が薄れていた。
そして、行動域がだんだんと下流まで伸び、発見される危険性の高まりを認識できていなかった。
菅隊長は氷橋を防衛線とし、ここに撃ち手を配置し警戒に当てた。
そして夜、橋で警備に就いていた一人が、対岸の切り株の影に不審を感じた。
六株あるはずの切り株が明らかに1本多く、しかも微かに動いているものがある。
報告を受けた菅隊長が、「人か、熊か!」と大声で誰何するも返答がない。
隊長の命令のもと撃ち手が対岸や橋の上から銃を放った。
すると怪しい影は動き出し闇に紛れて姿を消した。
やはり問題のヒグマだったのだと、仕留めそこないを悔やむ声も上がったが、隊長は手応えを感じ取っていた。
この日、旭川の陸軍第7師団から歩兵第28連隊が事件解決のために投入される運びとなり、将兵30名が出動した。
一方、ヒグマは村人不在の家々を荒らし回っていた。
飼われていた鶏を食い殺し、味噌や鰊漬けなどの保存食を荒らし、さらに、服や寝具などをずたずたにしていた。
中でも特徴的なのは、女が使っていた枕や、温めて湯たんぽ代りに用いる石などに異様なほどの執着を示していた点だった。
三毛別川右岸の8軒がこの被害に遭ったが、ヒグマの発見には至らなかった。
しかし、その暴れぶりからもヒグマの行動は慎重さを欠き始めていた。
味を占めた獲物が見つからず、昼間であるにもかかわらず大胆に人家に踏み込むなど警戒心が薄れていた。
そして、行動域がだんだんと下流まで伸び、発見される危険性の高まりを認識できていなかった。
菅隊長は氷橋を防衛線とし、ここに撃ち手を配置し警戒に当てた。
そして夜、橋で警備に就いていた一人が、対岸の切り株の影に不審を感じた。
六株あるはずの切り株が明らかに1本多く、しかも微かに動いているものがある。
報告を受けた菅隊長が、「人か、熊か!」と大声で誰何するも返答がない。
隊長の命令のもと撃ち手が対岸や橋の上から銃を放った。
すると怪しい影は動き出し闇に紛れて姿を消した。
やはり問題のヒグマだったのだと、仕留めそこないを悔やむ声も上がったが、隊長は手応えを感じ取っていた。
1001:オススメ記事@\(^o^)/:2016/07/10 00:09:00 ID:narusoku
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