1風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)18:50:59.48ID:uqmgu2mq0.net
書き留めてるから読んでってや
文章拙いけど許してや
2風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)18:51:26.21ID:uqmgu2mq0.net
ある村に、みっちゃんというそれはそれは可愛らしい少女がいた。明るく元気で、やんちゃをすることもあったが大人にも挨拶は欠かさず、村中から愛されている少女であった。
5風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)18:51:51.56ID:uqmgu2mq0.net
みっちゃんはいつも赤いスカートを穿いており、同じような赤いスカートを身に付けている人形を大層大事にして、遊びに行く時も家にいる時も、常に持ち歩いていた。
6風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)18:52:22.81ID:uqmgu2mq0.net
ある日、みっちゃんはいつものようにお気に入りの人形を持って 外に遊びに行った。しかし、夜になってもみっちゃんが帰ってこない。みっちゃんは多少門限を過ぎることはあっても、日が落ちる前には必ず家に帰っていた。
7風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)18:52:23.47ID:3NXVhnBvd.net
うんうん
10風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)18:53:11.32ID:uqmgu2mq0.net
さらに、この村には十数年前に、みっちゃん位の年の子が神隠しに合うという出来事があったため、村中が大騒ぎになった。

「みっちゃんがいない!」
「みっちゃんを探せ!」
「神隠しだ!」
11風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)18:53:40.23ID:3NXVhnBvd.net
そ、そんな…
12風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)18:53:51.26ID:uqmgu2mq0.net
村人総出でみっちゃんを探したが、1時間経っても、2時間経っても、みっちゃんは見付からなかった。

そんな中、村外れにある職場で働いていたある男が仕事を終え帰って来た。

男「みっちゃんが神隠しに?本当に?」
17風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)18:54:26.39ID:3NXVhnBvd.net
どうなるんや…
18風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)18:54:26.64ID:uqmgu2mq0.net
村人「ああ。もうかれこれ数時間、村人総出で探しているんだが、まだ見つからないんだ。仕事終わりでなんだが、お前も手伝ってくれ。」

男「分かった。任せてくれ。」
21風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)18:54:53.68ID:uqmgu2mq0.net
男はすぐにみっちゃんを探しに出た。
男にはみっちゃんの居場所に心当たりがあった。
というのも、男は村外れの職場近くの古井戸の辺りでみっちゃんがよく遊んでいた所を見ていたのだ。村でその古井戸の存在を知っている者は数人しかおらず、近づく人間はいない。だから見付からないのだろうと男は思い、その古井戸へと向かった。
22風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)18:55:10.63ID:yN+YUTSva.net
みっちゃん生きててくれ・・・!
25風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)18:55:32.24ID:uqmgu2mq0.net
古井戸に着いた男は、持ってきた懐中電灯で辺りを照らし見回したが、人影らしきものは見当たらなかった。

男「もしかして…」

男は古井戸を照らし目を凝らす。すると、いつもは完全に閉じられているはずの井戸の蓋が、僅かにずれて隙間ができていた。
30風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)18:56:11.52ID:uqmgu2mq0.net
男は震える手で井戸の蓋を開け、中を照らす。井戸はなかなかに深く、また所々茂っているツタが光を遮り、奥までは懐中電灯の光が届かなかった。しかしよく目を凝らすと、微かにだが、赤い布のようなものが見えた。
33風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)18:56:42.79ID:3NXVhnBvd.net
あああこわい!!!
36風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)18:56:58.97ID:uqmgu2mq0.net
男「まさか…本当に…」

男は一瞬躊躇したが、躊躇いを振り切り、かけてあった縄梯子を降りて確認することにした。井戸の中にはなんとも言えないような臭いが立ち込めていて、ジメジメとした空気、時々顔に当たる湿ったツタが不快感を増長させる。
39風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)18:57:15.81ID:uqmgu2mq0.net
すぐにでも降りてきた梯子を戻り、新鮮な空気を吸いたい衝動に駆られたが、哀れみと責任感と好奇心が混ざったような、これまたなんとも言えない気持ちが僅かばかり勝り、確実に足がかかっているの確認しながら、男は慎重に梯子を降りていった。
42風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)18:58:07.87ID:uqmgu2mq0.net
どれくらい時間が経っただろうか。実際は数分と経っていないだろうが、男には、この梯子を一つ一つ降りていく作業がとても長く感じられた。ようやく、少しぬかるんだ地面に足が着く。 どうやら井戸の底に着いたようだ。
47風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)18:58:35.99ID:3NXVhnBvd.net
ワイを一人にしないでクレメンス
49風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)18:58:39.73ID:uqmgu2mq0.net
男は少し安堵し、しかしすぐに梯子を降りてきた時に感じたものとはまた別の緊張感を感じながら、ゆっくりと足元に目をやった。
50風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)18:59:11.39ID:3NXVhnBvd.net
ああ……
52風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)18:59:20.41ID:DSw8lDQG0.net
ほげええ
53風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)18:59:24.99ID:3NXVhnBvd.net
そ、そんな……
56風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)18:59:34.24ID:uqmgu2mq0.net
足元には、井戸に入る前に懐中電灯で照らして見えた赤い布が確かにあったが、それは考えていたものよりも小さなものであった。どこかで見た記憶がある。これは………そうだ。確か、みっちゃんが大事にしていた人形のスカートだ。
57風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)18:59:45.44ID:3NXVhnBvd.net
ひええ……
58風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)18:59:54.58ID:uqmgu2mq0.net
上で見た赤い布はこの人形の赤いスカートのものだったのだ。男は、自分の中ではりつめていた緊張の糸が少しほつれたのを感じながら、ホッと息をついた。

男「井戸に落ちたわけではなかったのか。」
60風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)19:00:13.79ID:3NXVhnBvd.net
井戸に落ちたわけではなかったんか……
61風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)19:00:32.04ID:uqmgu2mq0.net
だが、みっちゃんの人形の一部と思われるものがここに落ちていたということは、みっちゃんがこの古井戸の近くで遊んでいたのは間違いないだろう。いったい今どこで何をしているのか。
63風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)19:00:40.78ID:3NXVhnBvd.net
怖くなってきたやで……
64風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)19:00:48.25ID:uqmgu2mq0.net
男の、半ば確信めいた推測が誤っていたことで、みっちゃん失踪の謎はさらに深まったわけだが、男には不安よりも安堵の気持ちの方が、より強く感じられた。
69風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)19:01:23.82ID:uqmgu2mq0.net
とにかく、みっちゃんが落ちていないことが分かったのなら、こんな不快感を凝縮したような場所に居続ける意味はない。男は逃げるように梯子に手をかけ、上へと戻ろうとした。その時、

???「こんばんは、おじさん」
70風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)19:01:30.89ID:3NXVhnBvd.net
!?
73風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)19:01:44.64ID:uqmgu2mq0.net
この空間には信じられないくらい不釣り合いな、まだ幼さの残る、しかし芯の通った快活な声が、井戸の中に響き渡った。この村の住人なら、誰しもが聞き慣れた声。その声がここまで不気味に響くことがあるなんて、男は想像だにしていなかった。
75風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)19:02:08.23ID:uqmgu2mq0.net
男「み……みっちゃん!?」

み「うん。こんばんは、おじさん。」

探していた張本人が、井戸の上からこちらを見下ろしている。表情は距離があるため読み取れないが、その光景は、男がつい先程感じた安堵感を吹き飛ばすには十分過ぎるほど不気味なものであった。
80風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)19:02:35.65ID:uqmgu2mq0.net
男「なんで………なんで、こんな時間、ここにいるんだい?皆、みっちゃんを探しているんだよ?」

み「うん。そうだと思った。」

男「…………とにかく、今そっちに行くから、そこで待ってなさい。」
83風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)19:03:16.03ID:uqmgu2mq0.net
訳が分からない。なぜみっちゃんがここにいるのか。いや、みっちゃんの人形がここに落ちていたのだから、まだ井戸の近くにいる可能性が高いというのは分かってはいるのだが…。
87風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)19:03:46.88ID:uqmgu2mq0.net
みっちゃんを探しに出て、そのみっちゃんを見つけたというのに、安堵や達成感など微塵も感じず、不安と恐怖心だけが男の中でどんどん膨らんでいった。男はまた一つ、一つと、降りるときの何倍も震えている手を梯子にかけ、足を持ち上げていく。
93風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)19:04:35.66ID:uqmgu2mq0.net
み「おじさん」

みっちゃんが再び声を発した。男がその声に反応しようとした、その瞬間、
男の身体は宙に浮いていた。
いや、正しくは、男の身体が先程まで立っていた井戸の底へと落ちているのだ。男の体重を支えていた縄梯子が切れために。あのぬかるんだ地面に、今度はその感触を味わう余裕もなく、男は背中からしたたかに打ち付けられる。
95風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)19:04:58.73ID:uqmgu2mq0.net
男「カッ………………ハァッ………」

必死に酸素を求める男の様は、さながら餌を求める鯉のようであった。

み「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
98風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)19:05:28.62ID:uqmgu2mq0.net
こんな状況だというのに、みっちゃんは大声で、心底楽しそうに笑っていた。井戸の中に響くその笑い声は、村で聞き慣れているそれと同じ声のはずなのに、男の耳にはまったく異質なものに聞こえた。
101風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)19:05:58.18ID:uqmgu2mq0.net
男「ッッ…………ハアッ、……ハァッ!!」

やっと、男の肺にわずかながらの酸素が届き、荒い息を繰り返す。すると、呼吸がままならかったために感じなかった激しい痛みが、男の身体を襲った。

男「痛ッ……痛………い」

狭い井戸の中では当然受け身などとることが出来ず、落下の衝撃は男の骨を砕くのに何ら過不足はなかった。
103風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)19:06:24.74ID:uqmgu2mq0.net
み「私も痛かったよ。」

男「苦し……い」

み「私も苦しかったよ。」

男「みっ…ちゃ…ん」

み「皆が心配してるから、そろそろ帰らないと。まだやることもあるし。」

その声は淡々と、そして冷たく男の耳に響いた。
105風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)19:06:47.74ID:uqmgu2mq0.net
ドサッ

何かが、横たわる男の側に落ちる音がした。みっちゃんが井戸の上から何か投げ入れたのだ。

み「そのお人形ね、みっちゃんって言うの、名前。私の宝物。」

男が目を横に向けると、自分の落下と同じタイミングで落ちたであろう、切られた縄梯子の上に、今投げ入れられた、下半身だけ何も身に付けていない人形と小振りなナイフが落ちているのが見えた。
109風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)19:07:44.07ID:uqmgu2mq0.net
み「おじさんにあげる。今度からは、そっちで遊んでね。」

男は、もう何も発することが出来なかった。ただ、酸素を求める呼吸の音だけが、井戸の中にこだましていた。

み「そろそろ行くね。さようなら、おじさん。」

井戸の上から差し込んでいた僅かな月明かりすら消え、

男「やめ…………やめ…て」

み「私もやめて欲しかったよ。多分、あの娘も」

完全な暗闇に包まれた。
115風吹けば名無し@\(^o^)/2016/05/08(日)19:08:30.52ID:uqmgu2mq0.net
ある村に、さっちゃんというそれはそれは可愛らしい少女がいた。いつも外で元気に遊び、やんちゃをすることもあったが大人にも挨拶は欠かさず、村中から愛されている少女であった。
1001オススメ記事@\(^o^)/2016/05/09 22:09:00 ID:narusoku