「トイレットペーパー抱えてた寮の女の子に声をかけた話」

2014年07月02日 12時11分

1 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)20:09:07 ID:R0oLLA6h7


生まれてはじめて見たんだよな。
女の子がトイレットペーパー(12ロール)を抱えて歩いてるところ。

「女の子ってトイレットペーパー、買うんだ」ってなんか興奮した。

だから、話しかけちゃったんだよね。
トイレットペーパーを抱えたその子に。




3 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)20:11:38 ID:e5AWwCMjV

ほう




4 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)20:12:27 ID:R0oLLA6h7


はじめて話しかけたのは、寮のロビーだった。

「トイレットペーパー、買ったんだ」

こんな感じで話しかけたら、意外なことに立ちどまってくれた。


「むしろトイレットペーパーしか買わないですよ」

「え? ティッシュは?」

「これがティッシュじゃないですか」

「いや、これはトイレットペーパーでしょ」

「我が家では、これを『丸いティッシュ』って呼んでます」


この会話でわかると思うけど、この子はけっこう変わってた。
あと、喋り方が渡部陽一に似てる。




6 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)20:14:48 ID:awPY6Cqxl

渡辺陽一て誰だっけ?




7 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)20:15:12 ID:dSpIcBL4s

戦場カメラマン




9 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)20:17:17 ID:awPY6Cqxl

>>7思い出したがあんな喋り方の女とか嫌だろwwwwww




8 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)20:16:37 ID:R0oLLA6h7


「ティッシュがいりますか?」

「いるでしょ」

「でも、トイレットペーパーがあれば必要ないですよね」

「……トイレットペーパーをなにに使ってるの?」

「わざわざ聞く必要ありますか」

「ごめん」とオレはそこであやまった。

さすがに女子に聞くことじゃなかった。
あと、なんかすげえ眠そうで半目だった。




10 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)20:18:47 ID:R0oLLA6h7


ちなみに名前を聞いたら、こんなふうに返してきた。

「好きなように呼んでくれていいですよ」

「そっかあ。って、本名を知らないんだけど」

「だから、好きに呼んでくれていいですよ」

「いいの?」

「いいです」

「じゃあ『トイちゃん』で」

「なんで、わたしのみょうじを知ってるんですか?」


トイちゃんが目を見開いた。
意外と大きい目をしてた。




11 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)20:20:35 ID:R0oLLA6h7


「いや、当てずっぽうなんだけど」

「へぇーほぉー」

「……」

なぜか、急に顔をジロジロ見てくるようになった。
けっこう真剣に感心してるっぽい。

『トイちゃん』って名づけたのは、
トイレットペーパーの『トイ』をとっただけなのになあ。




13 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)20:22:51 ID:dSpIcBL4s

ジト目の二次キャラで想像したら以外といける気がする




15 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)20:23:01 ID:0L8sFWTVV

続きはよ




16 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)20:23:48 ID:R0oLLA6h7


うちの寮は、男女共同。
だからトイちゃんとは、ときどきいっしょにご飯を食べた。

「トイちゃんって、なんで敬語を使うの?」

「変ですか?」

「一年生どうしなんだから使う必要なくない?」

「それには深い理由があるんですよ」

「と、言いますと?」

「わたし。タメ口で話すとなまっちゃうんです」

「それで、戦場カメラマンみたいな話し方してるの?」


トイちゃんはうつむいて、納豆をすげえ勢いでこねはじめた。
もしかすると、ショックを受けたのかもしれない。




18 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)20:25:46 ID:R0oLLA6h7


「鹿児島出身なんですよ、わたし」

「へえ。鹿児島ってなまりつよいの?」

「『自分ではよくわかんないんだけどねえ』。こんな感じです」

「なんかイントネーションがへんだね」

「地元の友達にも、よく言われます」


……地元の友達にも言われちゃうんだあ。




19 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)20:27:02 ID:HX4kjNNyU

なんだこれ




20 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)20:27:33 ID:6KMvxRVGH

これはなかなか




21 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)20:29:32 ID:R0oLLA6h7


朝は食堂で女子のすっぴんが見れたりする。
トイちゃんのすっぴんも拝めた。


「なんか体調、わるそうだね」

「なんでそう思うんですか?」

「だって顔色ヤバイよ」

「すっぴんだとだいたいこんな感じです」


早朝のトイちゃんは泥人形みたいだった。




23 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)20:30:20 ID:99ePG3gxe

wktk




24 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)20:35:27 ID:R0oLLA6h7


トイちゃんがバイトをはじめたらしい。

「へえ。なんのバイトはじめたの?」

「誰にも言わないでくださいよ」

めずらしく、トイちゃんの目が開いていた。

「ちなみに、オレはレジ打ちとかやってるのかと思った」

「残念。ちがいます」

「じゃあなんなの?」




26 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)20:37:05 ID:YTA82tQvc

風俗か




27 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)20:40:48 ID:R0oLLA6h7


「アパレルです」

「アパレル!?」

「はい。アパレルです」

「……なんかイメージとちがうなあ」

「友達からは、とっても似合ってるって言われますよ」

「ちなみに店は?」

「西松屋」

「ああ、うん。似合ってるわ」


ていうか、西松屋ってアパレルって言うのか。




28 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)20:42:11 ID:YhSuMhdG5

トイちゃんバカワイイ




29 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)20:45:25 ID:R0oLLA6h7


トイちゃんに趣味を聞かれたので、聞き返してみた。

「わたしの趣味ですか?」

「うん。なんかないの?」

「あります」

「なあに?」

目を細めるトイちゃん。
トイちゃんは、考え事をするとき必ず目を細めるのであった。

「ホテル巡りです」

「ホテル巡り?」




30 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)20:49:46 ID:R0oLLA6h7


「ブティックホテルの中を見るのが好きなんです」

「泊まらないの?」

「寮がありますし」

そう言ったあとで、トイちゃんは
「変な意味じゃないからね」と慌ててつけ足した。

変わった趣味をもった人間がいるんだなあ、とため息が出た。
ブティックホテルがなんのかわからなかった。

あとで調べてみたら、もっとため息が出た。




31 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)20:55:22 ID:R0oLLA6h7


ある日、ベランダで布団を干していると。
上からバスタオルが降ってきた。

ちなみにうちの寮は、六階建てなんだけど。
男子が住んでるのが、1階から4階。
女子が住んでるのが5階と6階。

そして俺が住んでるのは4階。

つまり上から降ってきたバスタオルは、女子のものである。
届けようかと思ったけど、女子の階には男子は行ってはいけない。
それでめんどくさくなって、自分の部屋で干しとくことにした。

……っていう話をトイちゃんにした。




32 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)20:56:26 ID:YhSuMhdG5

ラブホのことをブディックホテルって言う女は嫌いじゃない




33 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)21:07:01 ID:R0oLLA6h7


「それでまだ、タオルはもってるんですか?」

「まあ、いちおう」

「早く返したほうがいいですよ」

「オレの代わりに返してほしい」

「じゃあ、あとでもってきてください」


食堂で話し合って、一度解散することにした。
部屋に戻ったらトイちゃんから、寮の部屋の内線で連絡がきた。
内線は部屋の番号を押すだけで、勝手につながるんだけど。

教えてないのに、
どうしてオレの部屋の番号知ってたんだろ?




34 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)21:07:37 ID:y1ZYKl53q

4コマ漫画みたいだね




38 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)21:23:15 ID:R0oLLA6h7


トイちゃんにほかに趣味がないのか聞いてみた。

「ありますよ、もうひとつ」

「それはいったい?」

「お酒。芋焼酎とか飲むの好きです」

「トイちゃんって未成年飲酒とかしちゃう人なんだ……」

「未成年じゃないですよ」

「まだオレたち、一年生じゃん」

「わたし、浪人してるんで」

トイちゃん、まさかの年上だった。




39 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)21:34:07 ID:R0oLLA6h7


トイちゃん、どうやらコーヒーは豆から挽いて飲む人らしい。

「コーヒーは飲みますか?」

「めっちゃ飲むし、めっちゃ好き」

本当はコーヒーは好きじゃない。
けど、トイちゃんと話したかったからそう言った。

「じゃあ甘いものは好きですか?」

「あんまり好きじゃないけど、なんで?」

「甘いものはコーヒーのおいしさを引き立てるんですよ」




40 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)21:38:39 ID:R0oLLA6h7


「もったいないなあ」

「そうなの?」

「甘いものと飲むコーヒーのほうが、100倍おいしいのに」

「そっか」

「甘いものと、飲みません?」

「飲み方はなんでもいいよ。
べつにそんなにコーヒー好きじゃないし」

「え?」

「うん?」

なんだかんだコーヒーを飲ませてくれたトイちゃんだった。




41 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)21:40:37 ID:eubPF7QfW

トイちゃんは不思議ちゃん




42 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)21:45:53 ID:R0oLLA6h7


食欲の秋ってことで、
トイちゃんといっしょに食堂でカレーの大食いチャレンジをした。
ちなみにオレは誘われたがわ。

トイちゃんはちっこい。
それにどちらかと言えば、ほそい。
てっきりすぐ音をあげるかと思ったら、完食しやがった。

「じゃあ、別腹で喫茶店行きましょうか」

ラグビー部のヤツでさえ、
食べたその日は動けなくなるんだけどなあ。

トイちゃんは、パンパンになったお腹をさすって満足そうにしてた。




43 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)21:58:06 ID:R0oLLA6h7


冬はトイちゃんとは会わなかった。
コタツから出れないんだそうだ。

暖房つけろよって内線で言ったら、
「喉が痛くなります」ってキレられた。

なんか知らないけど、六時間ぐらい電話越しにケンカした。
さすがに眠くなって、電話を切った。

内線はお金がかからないから、ついつい長電話してしまう。




44 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)22:01:54 ID:R0oLLA6h7


冬は鼻水がとまらなくなる。
オレはいつも鼻をすすってた。

そんなあるとき、
トイちゃんが寮を出ていくという話を聞いた。
いつもどおり、内線で連絡してみた。

「今部屋がゴミ屋敷なんで、あとにしてください」

それだけ言って、内線を切られた。




45 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)22:06:37 ID:5DqtViQHs

トイレちゃんマイペースやなあ




46 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)22:09:50 ID:R0oLLA6h7


春が近づいて来ると、今度は花粉症がおそってきた。
鼻水はあいかわらずとまらない。
オレはなんとなく、ロビーで読書していた。

そこで台車に荷物をたくさんのせた、トイちゃんがやってきた。

「あー、ひさしぶりです」

「引越しの日?」

「そうです。巣立ちの日です」




47 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)22:14:28 ID:R0oLLA6h7


「そっかあ。さみしくなっちゃうね」

「べつに大学はいっしょのままですよ」

「いや、まあそうなんだけど」

「あ、そうだ。
トラックに詰めこみきれない荷物が、あります」

「くれるの?」

「あげます」

トイちゃんは、そう言って台車の一番うえにのってた
トイレットペーパーをわたしてきた。




48 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)22:18:05 ID:R0oLLA6h7


「トイレットペーパーかあ」

「ティッシュがいりますか?」

「いるでしょ」

「でも、トイレットペーパーがあれば必要ないですよね」

「……トイレットペーパーはなにに使ってるんだっけ?」

「はじめて会ったときも、聞いてきましたよね」


オレは目を見開いてしまった。
トイちゃんがオレと会ったことを覚えてるなんて。




49 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)22:23:35 ID:cVCkfvHiQ

イイハナシダナー(;∀;)




50 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)22:23:51 ID:R0oLLA6h7


「逆に聞きますけど、トイレットペーパーってなにに使いますか?」

オレはふくろをあけて、
その中からトイレットペーパーを1ロールとりだした。
そして、はなを思いっきりかんだ。

耳がキーンとした。

「こうやって使うんだよ」

「なるほどー」

トイちゃんは眠そうな目をいつもより開いて、
パチパチと拍手する。




51 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)22:28:49 ID:R0oLLA6h7


これがオレとトイちゃんの寮での最後の会話。

あれから二ヶ月が経ったけど、
トイちゃんの部屋はすっかりゴミ屋敷になっちゃったらしい。

だから今度、トイちゃんの家に掃除に行くことになった。

ホコリだらけらしいし、オレの花粉症はまだ続いてるから、
トイレットペーパーをもっていったほうがいいかもしれない。

ちょっとだけ楽しみ。それだけ。



おしまい





53 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)22:33:27 ID:H8bsd6ozG

最初のかけあいが最後に出てくるの好き




54 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)22:38:29 ID:cVCkfvHiQ

よいSSであった!乙




55 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)22:40:20 ID:sx907UPzY

乙!

ちょっとだけ実話はいってると思った




52 名無しさん@おーぷん 2014/07/01(The)22:30:37 ID:4KMxBKOw7

こういうの好きだぞ乙




引用元:「トイレットペーパー抱えてた寮の女の子に声をかけた話」